Googleタグマネージャー
Googleタグマネージャー(GTM)は、ウェブサイトやアプリに設置するタグ(トラッキングコードやスクリプトなど)を一元管理できる無料のツールです。通常、各種トラッキングコード(例:Googleアナリティクス、広告タグ、コンバージョンタグなど)を個別にウェブサイトに埋め込む必要がありますが、Googleタグマネージャーを使うことで一度設置したタグ管理システム内でそれらの管理や更新ができるため、効率的かつ正確に運用できます。
例えば、Googleアナリティクスのタグ、リマーケティングタグ、コンバージョンタグなどをGTMから設定することで、コード変更のたびに開発者へ依頼する必要がなくなり、マーケティング担当者が簡単にタグの管理・更新を行えるようになります。
Googleタグマネージャーの基本構成
Googleタグマネージャーは、以下の3つの主要な要素で構成されています。
1. タグ(Tags)
タグは、トラッキングやマーケティング用のコードを埋め込むためのスニペットです。たとえば、Googleアナリティクス、Google広告のリマーケティング、Facebookピクセルなどのトラッキングコードをタグとして追加します。タグをGoogleタグマネージャー上で設定すると、ウェブサイトのHTMLファイルに直接タグを埋め込む必要がなくなります。
2. トリガー(Triggers)
トリガーは、タグを実行するタイミングや条件を設定する要素です。例えば、特定のページが表示されたときや、ボタンがクリックされたときにのみタグを発火(実行)するよう設定できます。トリガーを適切に設定することで、タグが不要なときに実行されるのを防ぎ、精度の高いデータ収集が可能になります。
3. 変数(Variables)
変数は、タグやトリガーで利用するデータを動的に取得するための要素です。例えば、ページURL、クリックテキスト、ユーザー属性などの値を変数として設定し、タグやトリガーの条件に利用できます。変数を使うことで、柔軟に条件を設定し、詳細なデータを収集できます。
Googleタグマネージャーの設定手順
- Googleタグマネージャーアカウントの作成
Googleタグマネージャーのウェブサイトにアクセスし、Googleアカウントでログインします。アカウントを作成し、管理するサイトごとにコンテナ(Container)を作成します。 - コンテナコードの設置
Googleタグマネージャーが生成するコンテナコードを、ウェブサイトの全ページの<head>
および<body>
タグ内に追加します。これにより、GTMから設定するタグがサイト上で動作するようになります。 - タグとトリガーの設定
管理画面から「タグ」を追加し、実行タイミングを決めるトリガーを設定します。例えば、Googleアナリティクスのタグを追加し、全ページに適用するトリガーを設定すれば、すべてのページでアナリティクスのデータが収集されます。 - プレビューとテスト
Googleタグマネージャーには「プレビューモード」があり、設定したタグやトリガーが正しく機能しているかをテストできます。プレビューを確認し、不具合がないか確認してから公開します。 - 公開
設定内容をテストした後、「送信」をクリックして変更内容を公開します。これにより、設定したタグが実際のサイト上で動作するようになります。
Googleタグマネージャーのメリット
- タグの一元管理
すべてのタグをGoogleタグマネージャー内で一元管理できるため、各ページに直接タグを埋め込む手間が省けます。 - 非開発者でも簡単に操作可能
マーケティング担当者やアナリストが自分でタグを設定・変更できるため、迅速にタグの追加や更新が可能です。 - 精度の高いデータ収集
トリガーを使って特定の条件でタグを発火させるため、不要なデータ収集を減らし、必要なデータだけを取得できます。 - テスト機能の充実
プレビューモードやデバッグ機能により、タグが意図通りに動作するかを確認できるため、エラーの防止につながります。
Googleタグマネージャーの活用例
- Googleアナリティクスの設定
GoogleタグマネージャーからGoogleアナリティクスのタグを設定し、ページの閲覧データをトラッキングします。 - イベントトラッキング
ユーザーのクリックやスクロールなど、特定のアクションを追跡するイベントトラッキングを設定します。たとえば、フォームの送信ボタンをクリックしたときにだけデータを送信するなど、特定の行動を把握できます。 - 広告タグの管理
Google広告やFacebook広告のタグを簡単に設定し、リマーケティングやコンバージョン測定を行います。キャンペーンのパフォーマンスを効率的に追跡可能です。 - A/Bテストの実施
Google OptimizeなどのタグをGTMで設定し、A/Bテストやパーソナライズされたコンテンツ表示を行います。
GoogleタグマネージャーとGoogleアナリティクスの違い
Googleタグマネージャーは、タグの管理を簡単にするツールであり、さまざまなトラッキングタグを設置するためのプラットフォームです。一方、Googleアナリティクスは、ウェブサイトの訪問者の行動を分析するためのツールです。GTMを使用することで、アナリティクスのタグ設置が簡単になるため、GTMとGoogleアナリティクスを組み合わせて利用するのが一般的です。
Googleタグマネージャーを使えば、ウェブサイトやアプリのトラッキングやタグの管理が効率化され、データ収集がスムーズになります。また、マーケティング担当者が素早く変更やテストを行えるため、データドリブンな意思決定がしやすくなります。